ルート2が無理数の証明、ルート4が無理数の証明!?(後編)

どうも、ぺてです。前回の記事の解答、解説を行っていきます。
前回の記事はこちらからどうぞ

どうも、ぺてです。今日は久々に数学らしき記事を書いていきます。 今回は証明問題について書いていこうと思います。 高校1年の数学では「\(...

前回の記事「\(\sqrt{4}(=2)\)は無理数?」の証明のおかしなところについてですが、結果から言いますと

\(q^2\)は\(4\)の倍数である。よって、\(q\)は\(4\)の倍数である。

ここの部分がおかしいところです。前回の記事からまずいところを赤字にしてみます。

\(\sqrt{4}\)が有理数であると仮定する。
このとき、互いに素な正の整数\(p,q\)を用いて\(\sqrt{4}=\dfrac{q}{p}\)と既約分数であらわすことができる。

両辺を二乗して\(p^2\)をかけると、\(4p^2=q^2\)
左辺は\(4\)の倍数なので\(q^2\)は\(4\)の倍数である。よって、\(q\)は\(4\)の倍数である。
すると、\(q^2\)は\(16\)の倍数になるので、\(p^2\)が\(4\)の倍数となる。よって、\(p\)も\(4\)の倍数である。
\(p\)も\(q\)も\(4\)の倍数なので、\(p\)と\(q\)が互いに素であることに矛盾する。
ゆえに、背理法によって\(\sqrt{4}\)は無理数である。

ということで、赤字の部分が証明としておかしい部分になります。

そもそも「\(\sqrt{2}\)が無理数であること」の証明についてわかりにくいところがあるので1行ずつ解説していきながら、今回のおかしい証明にも触れていこうと思います。

「\(\sqrt{2}\)が無理数であることの証明」の解説

解説の前に前回の「\(\sqrt{2}\)が無理数であることの証明」をもう一度載せておきます。

\(\sqrt{2}\)が無理数であることの証明

\(\sqrt{2}\)が有理数であると仮定する。
このとき,互いに素な正の整数\(p,q\)を用いて\(\sqrt{2}=\dfrac{q}{p}\)と既約分数であらわすことができる。

両辺を二乗して\(p^2\)をかけると、\(2p^2=q^2\)
左辺は\(2\)の倍数なので\(q^2\)は\(2\)の倍数である。よって、\(q\)は\(2\)の倍数である。
すると、\(q^2\)は\(4\)の倍数になるので、\(p^2\)が\(2\)の倍数となる。よって、\(p\)も\(2\)の倍数である。
\(p\)も\(q\)も\(2\)の倍数なので、\(p\)と\(q\)が互いに素であることに矛盾する。
ゆえに、背理法によって\(\sqrt{2}\)は無理数である。

証明の概要 背理法について

まず、この証明は「背理法」という手法を使っています。「背理法」とは「証明したいことが成り立たないとおかしなこと(矛盾)がおきる」ので「証明したいことが成り立つしかない」という方法です。
なのでこの証明も最初に「証明したいことが成り立たない」と仮定して最後に「おかしなこと(矛盾)」がおきているのを示しています。

\(\sqrt{2}\) が有理数(無理数でない)であると仮定する。
・・・
・・・であることに矛盾する。
ゆえに、背理法によって\(\sqrt{2}\)は無理数である。

高校数学の証明で背理法はよく使います。それぐらい証明には強力な道具なので、わかりにくいですけど背理法をマスターしておくべきです。

この証明では、「背理法」を用いるために「\(\sqrt{2}\)が有理数である」と証明したいことが成り立たないと最初に仮定しています。

背理法を使う練習問題として簡単な例題をおいておきます。

最大の自然数が存在しないことを証明しなさい。

解答は一番下に書いておきます。背理法が苦手な人もじっくり考えてみてください。そんなに難しくないので

さて、ここからは1行ずつ見ていきましょう。

互いに素な正の整数 \(p,q\)を用いて\(\sqrt{2}=\dfrac{q}{p}\)と既約分数であらわすことができる。

有理数とは\(\dfrac{整数}{整数}\)で表すことができます。(ただし、分母は\(0\)以外)
ここでは、\(\sqrt{2}\)を分数で表すことだけではなく、これ以上約分できない「既約分数」で表しています。

\(\dfrac{1}{2},\dfrac{3}{5},\dfrac{7}{4}\)は約分できないので「既約分数」です。
\(\dfrac{3}{6},\dfrac{6}{10},\dfrac{49}{28}\)は約分できるので「既約分数」ではありません。

特殊な表し方ですが、\(2\)や\(-5\)などの整数も\(2=\dfrac{2}{1},-5=\dfrac{-5}{1}\)として「既約分数」として表すことができます。

どんな分数でも約分すれば、これ以上約分できない「既約分数」で表すことができます。

両辺を二乗して\(p^2\)をかける

\(\sqrt{2}=\dfrac{q}{p}\)の式には、根号(\(\sqrt{}\))と分数があり扱いにくいので二乗して分母を払い、扱いやすそうな式(\(2p^2=q^2\))に変形します。

左辺は\(2\)の倍数なので\(q^2\)は\(2\)の倍数である

\(2p^2=q^2\)は
$$q^2=2 \times (なんとか)$$
の形なので、\(q^2\)は\(2\)の倍数であるということです。

\(q^2\)は\(2\)の倍数である。よって、\(q\)は\(2\)の倍数である。

ここが今日のメインです。

\(n^2\)は\(2\)の倍数ならば、\(n\)は\(2\)の倍数である。

は成り立つのですが、

\(n^2\)は\(4\)の倍数ならば、\(n\)は\(4\)の倍数である。

は成り立たないのです。

反例として\(n=2\)のとき、\(n^2(=4)\)は\(4\)の倍数ですが、\(n(=2)\)は\(4\)の倍数ではありません。
これが、\(\sqrt{2}\)と\(\sqrt{4}\)が無理数であることの証明の違う部分となります。

実は、高校で「\(\sqrt{2}\)が無理数であることの証明」を習う前に、

\(n^2\)は\(2\)の倍数ならば、\(n\)は\(2\)の倍数である。

を対偶をつかって証明します。

「\(n^2\)は\(2\)の倍数ならば、\(n\)は\(2\)の倍数である。」は「\(\sqrt{2}\)が無理数であることの証明」の前準備となってるわけですね。前の記事では、サラッとこの事実を使いましたが、ここが証明の要となるんですね。

すると、\(q^2\)は\(4\)の倍数になるので、\(p^2\)が\(2\)の倍数となる。

前節で「\(q\)は\(2\)の倍数である。」ことがわかったので、
$$q=2 \times (なにか)$$
と表すことができます。両辺を二乗すると、
$$q^2=4 \times (なにかの二乗)$$
となるので\(q^2\)は\(4\)の倍数になります。
少し前に、\(2p^2=q^2\)という式が成り立つことを示したので、この式に\(q^2=4 \times (なにかの二乗)\)を代入すると
$$2p^2=4 \times (なにかの二乗)$$
という式が出来上がります。両辺を\(2\)で割って
$$p^2=2 \times (なにかの二乗)$$
という式が得られます。\(q^2\)でも似たようなことをしましたが、\(p^2=2 \times (なにかの二乗)\)より\(p^2\)が\(2\)の倍数となります。

\(p^2\)が\(2\)の倍数となる。よって、\(p\)も\(2\)の倍数である。

\(p^2\)が\(2\)の倍数より、ふたたび

\(n^2\)は\(2\)の倍数ならば、\(n\)は\(2\)の倍数である。

を使って\(p\)が\(2\)の倍数であることを示しています。

\(p\)も\(q\)も\(2\)の倍数なので、\(p\)と\(q\)が互いに素であることに矛盾する。

ここまでで、\(p\)と\(q\)が共に\(2\)の倍数であることを示しましたが、\(p\)と\(q\)が共に\(2\)の倍数であると\(\dfrac{q}{p}\)は2で約分できます。

最初に\(\dfrac{q}{p}\)は約分できないと定めたのに、約分できるということが示されました。これが数学でいう「矛盾」です。

矛盾する。

数学では「\(A\)である」と「\(A\)でない」が同時に成り立つときに「矛盾」していると表現します。今回は「\(\dfrac{q}{p}\)は約分できない」と「\(\dfrac{q}{p}\)は約分できる」が同時に成り立っています。「矛盾」しています。

これで、背理法の仮定である「\(\sqrt{2}\)が有理数である」から「矛盾」を導きました。

最後に

「\(\sqrt{2}\)が無理数である」ことを自分なりに丁寧に説明してみました。「背理法」に慣れている自分でも、書いていて不安になるので高校数学で「背理法」を初めて学んだときはそれは不安になるでしょう。

「\(\sqrt{2}\)が無理数である」を証明するのに書き出しが「\(\sqrt{2}\)が有理数である」と始まっているのは不思議な感じがしますが、「証明したいことが成り立たないとおかしなこと(矛盾)がおきる」ことを意識すると少しはわかりやすくなるのかなと思います。

さらに、今回は前回の記事の「\(\sqrt{4}\)が無理数である」についても少しだけ解説しましたが、どうでしたでしょうか。正しい証明の一部を別の数値に変えて議論をすすめるとあたかも偽の証明ができてしまいます。

私も注意するのですが、数学には一見成り立ってそうな証明がぱっと作れることがあるので証明などを見るときは注意が必要です。

今回の「\(\sqrt{4}\)が無理数である」で私が言いたかったことは、\(\sqrt{2}\)と\(\sqrt{4}\)の違いというのが証明の中でどこかででてきます。その違いが出てくるところが証明の要となるのかなと考えると有理数と無理数の違いについて理解が深まるのかなと。今回の照明の場合、

\(n^2\)は\(k\)の倍数ならば、\(n\)は\(k\)の倍数である。

で\(k=2\)の場合は成り立って、\(k=4\)のときは成り立ちませんでした。では、\(k=3\)や\(5,6\)の場合は?素数の場合は?など、どんなときに成り立ってどんなときに成り立たないのか考えるのも学校の数学を超えた数学の勉強になると思います。

言いたいことがうまく表現できていませんが…

少し難しい話になりますが大学数学では、「実数が可算集合でない」ことを「カントールの対角線論法」を用いて「背理法」で証明します。今回の議論と同様に「実数が可算集合でない」証明の「実数」を「有理数」に置き換えると「有理数が可算集合でない?」ことの証明になります。「有理数は可算集合」なので当然「有理数が可算集合でない?」の証明には誤りがあります。その誤りの部分が今回と同様に「実数」と「有理数」の大きな違いとしてでてくるのかなと

結局、わかりにくい例えになってしまいましたが、数学は疑って取り掛かると当たり前のようなことでも新しい発見があるかもしれない。私は多分そんなことが言いたいのです。

(参考)最大の自然数が存在しないことの証明

最大の自然数が存在すると仮定する。
その最大の自然数を\(n\)とおく。
この時、\(n+1\)について考えると、

  • \(n+1\)は、\(n\)より大きい。(\(n<n+1\))
  • \(n+1\)自然数である。

よって、\(n+1\)は\(n\)より大きな自然数となるので\(n\)が最大の自然数であることに矛盾する。
背理法により、最大の自然数が存在しないことが示された。

※\(n\)を最大の自然数と仮定していて、\(n+1\)がそれよりも大きいことを示せれていれば上記と違っても証明になっていると思います。
見やすいかなと思って証明に箇条書きを使っていますが、使わなくても問題ありません。

シンプルに書くと

\(n\)を最大の自然数と仮定すると、
\(n+1\)は\(n\)より大きな自然数となるので\(n\)が最大の自然数であることに矛盾する。
背理法により、最大の自然数が存在しないことが示された。

でも十分かと思います。

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