どうも、ぺてです。今回はニコニコ生放送でも説明した「\(0\)で割ってはいけない理由」について説明します。
まず前提として確認しないといけないこと
「\(0\)で割ってはいけない」ことについて確認しないといけないことが2点あります。
- 「\(0\)」とはなにか
- 「わり算」とはなにか
なぜ、この2点を確認しないといけないのか
数学で議論する時、これから議論する「\(0\)」と「わり算」というものを明解にして、共通認識を共有しておかないと議論が成り立たなくなる事があるからです。
一般の議論でもそうですね。同じ言葉でも使う人の意味が違うと、議論のすれ違いが起きることがありますね。
なので、これから議論することについて「議論することを明確に定義する」は数学でも数学じゃなくても重要になります。
「\(0\)」とはなにか
では、まずは「\(0\)」の性質について知っていることをまとめましょう
- \((なにか)+0=(なにか)\)(結果変わらず)
- \((なにか)-0=(なにか)\)(結果変わらず)
- \((なにか)\times0=0\)
- \(1\)の一つ前の数
小学生でも習う\(0\)の性質はこんな感じでしょうか
「わり算」とはなにか
次に、「わり算」の性質についてまとめていきましょう。
小学校3年生で「わり算」を最初に学ぶ時、かけ算の逆算として習います。
\(6 \div 2\)を例にして見てみましょう
\(\square\)に当てはまる数は\(3\)ということで、小学校で最初にわり算を習うときにはかけ算にして考えます。
今回の議論では、例のように「わり算」は「かけ算の逆算」として定義します。
\(0\)で割るとどういう事が起きる?
上記の例で\(2\)を\(0\)として\(6 \div 0 = \square \)にして考えてみましょう。
$$ 6 \div 0 = \square $$
例と同じようにかけ算に直してみましょう。
$$ \square \times 0 = 6 $$
さて、\(\square \)にはどんな数が当てはまるか考えてみましょう。
当てはまる数はありませんね。「\(0\)」の性質で
$$(なにか)\times0=0$$
ということを説明しましたが、どんな数でも\(0\)をかけると\(0\)になるので、\(0\)をかけて\(6\)になる数は存在しません。
このことから\(6 \div 0 \)という計算はできないということがわかって頂けたかなと思います。\(6\)以外の他の数でも同様の結果が得られますね。
なので
$$ (なにか) \div 0 は「計算できない」$$
となります。
ちなみに、「存在しない」ために「計算ができない」ことを「不能」と呼びます。
ちなみに「\(0\div(なにか)\)」はOK
逆に\(0\div6\)について考えてみましょう。今までと同じように
$$ 0 \div 6 = \square $$
として、考えます。ここからも今までと同じようにかけ算に直してみると
$$ \square \times 6 = 0 $$
となりますね。
さて、今度は\(\square \)に\(0\)をいれると
$$ 0 \times 6 = 0 $$
となるので、式が成立しますね。
なので、
$$ 0 \div 6 = 0 $$
となります。\(6\)以外の他の数でも同じように示せますね。
なので
$$ 0 \div (なにか) = 0 $$
となります。
じゃあ、\(0\div0\)の場合は?
さて、これまでの話をまとめる前に\(0\div0\)について考えてみましょう。
今までの議論から考えると、
- \((なにか) \div 0\)は計算できないので、\(0\div0\)も計算できない。
- \( 0 \div (なにか) = 0 \)なので、\(0\div0 = 0\)になる。
という2つの結果が考えられます。不思議な感じですね。また、
- \((同じ数) \div (同じ数)=1\)なので\(0\div0 = 1\)になる。
という意見もあったりします。この考えも興味深いですね。
では\(0\div0\)は一体どうなるのでしょうか今までと同じように
$$ 0 \div 0 = \square $$
として考えてみて、かけ算に直してみると
$$ \square \times 0 = 0 $$
となりますね。\(\square \)に当てはまる数を考えてみると\(\square \)には\(1\)でも\(2\)でも\(3\)でも\(0\)でも\(0.5\)でも\(3.14\)でもどんな数でも当てはまりますね。
ということで、\(\square\)は一つの値には定まらないので、\(0\div0\)も一つの値に定まりません。なので、この場合も「計算できない」となります。
ちなみに、「一つの値には定まらない」ために「計算できない」ことを「不定」と呼びます。
まとめ
ということで、今回は「ゼロワリ」について説明しました。
まとめますと
- \((0以外のなにか) \div 0 \)は「計算できない」(不能)
- \(0 \div (0以外のなにか) = 0\)
- \(0 \div 0\)も「計算できない」(不定)
ということになります。
(なにか)が\(0\)であってもなくても\((なにか) \div 0 \)は「計算できない」となりますが、「不能」と「不定」という微妙に違う要因が潜んでいます。
\((なにか) \div 0 \)は「計算できない」とだけ覚えておいてもいいですが、0とそれ以外のときの違いを少しだけでも理解すると算数や数学がより面白くなるかなと思います。(あんまり面白いことにならないかも…)
以上、ここまで読んでくださりありがとうございました。